Cinepoetry
映像詩「いまに生きる奈良」(33分)
監督・撮影・文:MIRO ITO 伊藤みろ
製作: いかす・なら地域協議会(文化庁クラスター事業)
企画制作:メディアアートリーグ
協力: 法隆寺、薬師寺、東大寺、唐招提寺、西大寺、興福寺、春日大社ほか
監修: 東大寺 森本公誠長老
古代の奈良は、シルクロード東の終着点でした。
南はエジプトのアレキサンドリア、北はコンスタンティノーブル(イスタンブール)から黒海沿岸のフェオドシア(テオドシア、ウクライナ)、西はアテネからローマ、東は長安・洛陽までを貫く交易の道が、今日「シルクロード」と呼ばれています。この道は、さらに東の難波津まで海を越え、水路によって飛鳥までつながっていました。
奈良には、東アジアを経たヘレニズム文化の遺産が残され、6世紀半ばには仏教が伝来し、隋・唐や朝鮮半島諸国から最新文化を取り入れ、神と仏が共存する精神文化の聖地となりました。
東アジアの激動の歴史の中で、周辺諸国から学びながら、中央集権国家を目指した7〜8世紀から今日まで、国家誕生の記憶が先人たちの叡智や大いなる理想とともに、有形無形の文化遺産として、いまも生き続けています。
聖徳太子没後1400年を迎えた2021年、太子の偉業に光を当てながら、それを受け継いだ聖武天皇による大仏造立という、国難克服のための歴史的事業を中核として、飛鳥・藤原・平城京における南都六大寺と春日大社の由来、今日に続く麗しき伝統の粋と豊饒さを紹介します。
シルクロードを経た有形無形の東西交流の証を通して、奈良の1400年の精神文化の伝統から見えてくる、分断化の進む世界へのメッセージとして「私たちが皆一つであること」を訴える映像詩です。
「奈良を終点とする壮大な地球的物語であり、法隆寺、東大寺をはじめとする文物が歴史の流れの一環として浮かび上がってくる」(明石康氏)
本作品では、「法隆寺地域の仏教建造物」と「古都奈良の文化財」で構成される、二つのユネスコ世界遺産群を紹介しています。また2007年に世界遺産暫定リスト入りした「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」における古代国家形成のドラマにも、光を当てています。
撮影には2008年から2021年までの13年を費やし、作者であるMIRO ITO(伊藤みろ)がNYで体験した9.11同時多発テロ事件以来、奈良の伝統の中に追い求めてきた寛容と連帯””への願いを起点として、奈良への思いの丈を凝縮させながら、生きとし生けるものすべての繁栄を願う”普遍のこころ”を、世界へ発信していきます。
映像作品「いまに生きる奈良」(33分)は、文化庁クラスター事業「いかす・なら地域協議会」製作となる海外発信プロジェクト。
2021年2月6日に奈良県「甍ホール」のイベントで上映された同作品は奈良県文化資源活用課によってオンラインで配信中。
リンク先: https://www.youtube.com/watch?v=hes4hDE1lXI
写真は法隆寺金堂 国宝釈迦三尊像(Photo by Miro Ito)